最近、ARCHICADで1週間で1万平米規模の建物の基本設計をまとめたので、その時の話を可能な範囲で共有できればと思います。
BIMって実際どうなの?って思っておられる方に見ていただければと思います!
図納めは唐突に。
先々月の話なのですが、とある週半ばの設計定例にて、突如、「じゃあ、概算見積用の基本設計図書は来週水曜日までということで」という発言がとある筋から飛び出し、1週間で設計をまとめることになりました (;^ω^)
いやぁ、眠気が吹っ飛びましたね。。
まあ工程表通りではあるんですけどね。。
作成した図面は30枚。
図面作成にあたって、まず人員の確認です。
今回は3人で作業を行いました。
2Dのみの上司、私(ARCHICAD歴4年目)、後輩(ARCHICAD歴1年目)という構成です。
私は主にARCHICAD部分を後輩に指示を出しながら組み立てていく感じですね。
作成する図面は30枚。
はじめに必要な図面とその担当、および使用CADを書き出して整理しておきます。
図面種類 | 枚数 | 仕様ソフト |
図面リスト | 1 | ARCHICAD + Excel |
概要書・面積表 | 1 | ARCHICAD + Excel |
仕上表 | 2 | ARCHICAD + Excel |
配置図 | 1 | ARCHICAD |
平面図 (区画図等含む) | 15 | ARCHICAD |
屋根伏図 | 1 | ARCHICAD |
立面図 | 5 | ARCHICAD + Excel |
断面図 | 2 | Vector Works |
矩計図 | 4 | Vector Works |
以上の項目で合計30枚ほどの概算見積もりができる程度の図面です。
私は主にARCHICADの項目を担当しました。
作業を時系列で書き出してみる。
実際に僕が行なった作業を時系列で書き出してみます。
- 木曜日:ルーバー設計のための日影シュミレーション作成、検討。トイレ個数算出指示。トイレレイアウト指示。
- 金曜日:基本設計用チームワークファイル作成。通り芯、図面枠等から設定、入力開始。
- 土曜日:ゾーン入力
- 日曜日:完全休息
- 月曜日:構造入力
- 火曜日:壁、建具入力、ルーバー入力。平面図、立面図を中心に図面レイアウト。
- 水曜日:定例、提出を1日伸ばしてもらう。図面ラベル、凡例、寸法、入力
- 木曜日: 調整、図面チェック、修正。送付。
以上のような感じです。
ARCHICADの日影シミュレーションを使ってみる。
まず今回、最小限の要素で最大限の日射遮蔽効果を生み出すためのルーバーを仮設計する必要があり、ARCHICADの日影シミュレーションを初めて使いました。複数の季節で30分毎などで画像を書き出し、InDesignに配置して複数パターンを見比べることで短時間で効果的なスタディが可能になりました。
構造はSTBデータで整合させる。
構造は、もしある程度一貫ソフトで入力が終了している場合、構造にお願いしてSTBファイルをかき出してもらえば、アーキキャドのアドオン、「ST-Bridge Converter for ARCHICAD」でARCHICADに取り込むことができるので、完全に整合させることができます。
今回は構造図と意匠図が同時出しだったので、図渡しには間に合いませんでしたが、その後もプロジェクトは続くので、一度構造のほうで一貫計算ソフトへの入力がおおむね終了した段階でSTBファイルを送ってもらい、整合させておくことが重要です。
作図と社内テンプレート、ルール作りを同時進行する
BIMモデルでの設計図書作成に当たって、現在所属している事務所では、明確な作図ルールやテンプレートが整備されていませんでした。実は何年か前に一度テンプレートがあったようですが、使い勝手が悪く、テンプレートの意味合いも失われていました。そこで、私なりに今までの経験をもとにこうすればいいのでは?という大まかな社内テンプレート、ルール作りを設計図書を作成しながら行っていきました。調整したのは主に、チームワークファイル命名規則、レイヤ命名規則、ペン設定、ライブラリの整備、DWG書き出し設定などです。
【追記】BIMで1万平米規模の基本設計を7日間でまとめてみた感想
※読み返すと感想が書けていなかったので、感想の章を追記しました。
感想ですが、まず、ご覧の通り、図面数はそこまで多くなく、期間的に余裕はないですが、2DCADでもやれないことはないスケジュール感だと思います。言い換えれば、BIMでも2Dでもこの規模を一週間で仕上げるには、ある程度の経験が必要という事になります。
ひとつ言えるとすれば、同じ期間でも2Dに比べて濃密な設計ができるという点が大きいかもですね(今回だと日影シミュレーションですね)。
同じ作図期間でも作業内容に対するウェイトが違ってくるというか。同じ一週間でも2Dだと線一本一本を入力する時間が結構かかっていたものを、BIMだとルーバースタディだとか、ボリュームスタディとか、もしくは、躯体数量を比較するだとか、高レベルでデザイン領域に踏み込んで作業ができるので、成果物に情報的な密度が生まれるという利点は大きなメリットかと思います。
あと、これは個人的な感想なのですが、BIMってプログラミングやレンダリングに似てるところが好きなんですよね。
どういうことかと言うと、 プログラミングもレンダリングも、入力して準備して、それを走らせて成果が出てくる、PCが仕事をしてくれる感が好きというのがあって。BIMの、モデルを入力すれば、数量も図面もソフト側で作ってくれるというプロシージャル的な側面が好きで、作業していて気持ちいいですね。(^^♪
これは、2Dの時と比べて作業内容のウェイトが変わってくるという話にも関係してきますね。
BIMは魔法ではない。
一応、今回行った作業と感想は以上になります。
BIMって聞くとすこし身構えてしまったり、なんでもできるんでしょ?とハードルあげてきたりという事案がよく見受けられますが、実際には以上のように2DCADの時と変わらず、泥臭く、一つ一つ課題を整理してクリアしていくという作業の繰り返しです。
この記事によって、何となくBIMを身近に感じてもらえたり、実際BIMを使ってる人には具体的な進め方の参考になっていれば幸いです!
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